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地すべり計測研究領域

徳島地すべり観測所をフィールドステーションとして、結晶片岩地すべりの長期移動計測、地下水観測および地すべり斜面における地震動観測を継続実施する。また、国内外で発生する各種のタイプの地すべりの現地調査、力学特性ほか各種要因の計測技術の開発を実施するとともに、大学院生、社会人、海外からの研修生等に対して地すべりに関する教育・能力開発を実施している。現在、下記の研究テーマを掲げて活動をおこなっている。

(あわせてメンバー紹介もご覧ください)

(1)破砕帯の結晶片岩地すべりにおける現地観測とその変動機構

(2)地すべり斜面における地震観測及び地震動特徴の解明

 上記(1)と(2)の研究活動は主として、徳島地すべり観測所で実施されている。

(3)大規模再活動地すべりの活動予測とその抑制法

 これまでに、「再活動地すべり」の特徴が、その規模が大きいものの、移動速度がそれほど速くなく、突発災害にあまりならないことが一般的に受け入れられている。しかし、2004年8月の台風10号による徳島県南部の集中豪雨および同年10月の新潟県中越地震によって、数多くの大規模古い地すべりが再び動き出し、高速・長距離運動した。即ち、「再活動地すべり」でも高速・長距離運動地すべりとして再活動することがある。当領域は、これらの再活動地すべりを対象として、現地調査・観測、室内実験および数値解析を通じて、地すべり再活動条件の解明、地震・降雨により再活動とする地すべり土塊において高速長距離運動を引き起こす危険度評価手法の開発、異なる誘因による再活動する地すべり土塊の体積と運動範囲の予測などに焦点を当てって、研究を実施している。

(4) 天然ダム堤体特性調査と決壊危険度評価

 地震や豪雨時に形成された天然ダムは蓄えていた水と一緒に一気に下流へ流下し、大規模な土石流や洪水となって、甚大な二次災害を引き起すことが少なくない。現段階では、形成された天然ダムの決壊条件と決壊時間の確定および下流への被害予測のために必要な決壊時のピーク流量の推定に関して不十分な点があり、災害直後の天然ダムに対して、迅速かつ的確な対応・対策を取ることが困難である。当領域は、2006年の新潟県中越地震および2008年の四川大地震により発生した大規模天然ダムなどを対象に、物理探査、現地計測、実験分析及び数値解析を通じて、大規模天然ダムの形成・決壊機構を解明し、災害直後の緊急事態に備えた天然ダムの危険度予測法の開発を目的とする研究を進めている。

(5) 異常気象時における地下水圧変動と斜面災害

 日常に存在する大気圧の変化が誘因として地すべり変動を起こしうることが、米国地質調査所と当領域の共同研究により初めて解明された(図1)。即ち、気圧の低下によって、すべり面付近の土層に加える有効応力が低下し、斜面を支えている抵抗力が減少し、斜面変動が引き起こされる。現在、台風などの異常気象時に大幅に変化する大気圧およびそれに伴う豪雨が山地斜面の安定性に及ぼす影響を解明するため、現地観測および室内実験研究を進めている。

(6) 現地調査と機器開発

 平成12 年よりペルー・マチュピチュ遺跡および岡山県高梁市・備中松山城の岩盤地すべりの観測等を継続実施している。マチュピチュ遺跡では現地踏査の結果、潜在的な大規模岩盤地すべりであると推定し、地すべりブロックの判定短スパン簡易伸縮計、長スパン伸縮計、GPS、トータルステーション、雨量計を設置し観測を開始している。既に微少な変動を観測し、潜在地すべりであることを示した。

 また、近年普及してきたデジタルカメラを用いて崩壊可能性の高い岩盤斜面に対し離れた場所からステレオペアを撮影し、その三次元測量解析により微少な前兆変位を広範囲に捉える手法を開発しており、徳島県内の崩壊斜面を試験地としてデジタルカメラによる写真測量を繰り返し実施し、斜面の変位およびその分布の測定可能性、精度評価等についての研究を実施している。さらに、高精度表面波探査手法を用いて、地すべり移動土塊を検出する研究を行っている。この手法は2006年の新潟県中越地震時に発生した尼谷地地すべりおよび徳島県西井川地すべりなどの緩斜面における地すべり移動土塊の検出には適用されている。現在この手法による地すべり地における水みちの検出とその有効性について調査研究を進めている。

(7) 途上国における地すべり危険度軽減のための教育、人材開発

 ペルーのマチュピチュでは、最新の観測機材を設置し、現地の観測担当職員が定期観測、観測機器の維持管理、データの送信等を行っている。ペルーは途上国であり、観測方法、機材の構造、維持管理方法、データ解析方法、送信方法等の能力開発については現地訪問時に現地技術者、行政担当者、住民に対する観測結果報告会、技術講習会、また日本や第3 国に開催する国際研究集会への招へいと研修を実施することにより推進している。これら海外の地すべり調査では、地すべりダイナミクス研究領域の職員の実施する地すべり危険度評価の研究と平行して実施している。また、平成15 年度より毎年JICA の中央アジア、東南アジア、およびクロアチア共和国等の斜面災害行政実務担当者らの研修を実施しているなど、毎年多数の外国人斜面災害研究者、技術者を短期、中期受け入れており、滞在中に研修を実施している。

現地観測・現地調査

地すべり地における地震観測
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天然ダムの調査
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